「キレーション」という言葉は、ギリシャ語の「蟹の爪」を意味する「きーれー(chele)」に由来し、キレート剤が血中や組織の重金属を「蟹の爪のように挟んで」 尿中に排泄させることから、「キレーション(chelation)」という言葉が生まれた。血管や血液を綺麗にするから「キレーション」が、一番簡単な説明のようである。
キレーションに使う薬剤をキレート剤という。
代表的なキレート剤は、EDTA(ethylene-diamino-tetra-acetate)であり、1934年にドイツで合成されたアミノ酸剤である。
このキレート剤は、カルシウムをキレートする(挟む)ことから、血液の抗凝固剤に使われている。1950年代初頭に米国で発生した鉛中毒の症例に使われた。
その後EDTAを使用した患者の中に、狭心症症状が軽快した症例があきらかになり、動脈硬化の改善に効果があることが判明した。
前に述べたEDTAは、点滴静注で使用する。その構造式の蟹の爪の中に「カルシウム」を入れた「カルシウムEDTA」と「マグネシウム」入りの「マグネシウムEDTA」があり、使う用途が異なる。
「カルシウムEDTA」は、カルシウム以外の重金属(鉛、カドミウム、砒素、水銀など)を体外に排泄し、「マグネシウムEDTA」は、カルシウムを始めとして多価金属を排泄させるために、主に動脈硬化症の改善に使う。
経口キレート剤には、DMSA(ジメルカプト・琥珀酸)とDMPSがあるが、DMSAは入手可能。これらはどのような疾患に効くか?