腸を整え、便通を良くし、免疫を整える機能性医学についてのご説明

機能性医学について

整腸の効用

腸は第二の脳「second brain(セカンド・ブレーン)」といわれる。脳内に必要な物質、例えばセロトニンやビタミンなどが腸内で生産される。腸内の細菌叢「intestinal flora(インテスティナール・フロゥラ)」に、1000種類の細菌が100兆個くらい生息している。20%が乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌、10%がクロストリヂウム(破傷風菌やガス壊疽菌であるウエルシュ菌)やぶどう球菌などの悪玉菌、70%がバクテロイディスや大腸菌などの日和見菌である。日和見菌は善玉優勢のときは善玉を応援し、悪玉優勢のときに日和見菌は悪玉菌となる。

小腸細胞の栄養はアミノ酸のグルタミンで、大腸は酪酸であり、糖質ではない。グルタミンは必須アミノ酸ではないので、他のアミノ酸からも産生が可能で、通常体内で不足することはない。しかし、抗がん剤投与や放射線治療の場合、またピロリ退治のときなどの抗生物質投与の場合、消化管細胞、特に小腸粘膜細胞が一番早く障害を受けて下痢を併発するので、グルタミンを特別に投与するとよい。保険薬ではマーズレンが90%グルタミンである。しかし、1日量が少量であるから、ひどいときは摂取量を増量するとよいかもしれない。

便通が良いということは腸内細菌が安定している。体調がよいと体内の免疫の7割が腸内で作られている。腸内細菌、特に大腸内の分布図は、お花畠のように分かれている。それで細菌叢を「flora(花・花畠)」という。抗生物質を投与すると、この花畠の分布図が変わり、免疫が乱される。腸内細菌の餌になり、体調を改善する食物繊維を沢山含む野菜や海藻、それに味噌、納豆、漬物やチーズなどの発酵食品が体によい。そして腸内細菌を整えるものが、最近脚光を浴びている「ヤクルト」や「ヨーグルト」(とくにR-1ヨーグルト)、さらにむかしからある乳酸菌やビフィズス菌、アシドフィラス菌を含む「ビオフェルミン」、最近のテレビに登場する「ラクトフェリン」は腸内細菌の善玉菌を増やすので「プロバイオティクス」と呼ばれる。また食物繊維やオリゴ糖は善玉菌の餌になり、菌を増やすことから「プレバイオティクス」と呼ばれる。

リーキー・ガット症候群(Leaky Gut Syndrome)

たん白質の摂取が少なく、糖分の摂取が多いと腸内の善玉菌が減り悪玉菌が増えると、腸内の栄養が悪化する。悪玉菌は水銀をため込む性質があり、水銀がたん白質分解酵素を阻害して、ペプチドが作られ、これがさらに腸壁を傷つけ、血中に吸収される。他方、必須ミネラルなどの栄養素の吸収が妨げられる。重金属・有害ミネラル(水銀・鉛・ヒ素・カドミウム)など汚染があると、イースト・カンジダなどの微生物が寄生する可能性もある。さらに抗生物質長期投与があると、腸内細菌叢が悪化して、腸壁が薄くなり腸管免疫が十分に働かない状態で、異物や生物が腸壁を用意に貫通する状態ができる。これを腸(gut)が漏れる(leak)状態で、「leaky gut syndrome(リーキー・ガット・シンドローム)」略して「LGS」といい、細菌が血中に移ることから、「bacterial(バクテリアル) translocation(トランスロケイション)」ともいう。「LGS」の血液検査では、血清中の「Alkaline Phosphatase(アルカラィン・フォスファティス)(日本語読みアルカリホスファターゼ 略号:ALP」の濃度が上昇する場合がある。ALPには、肝臓、腎臓、骨芽細胞、胎盤や小腸の5つの臓器からの壊死や破壊に伴う修復活動として細胞再生が行われており、これに伴ってALPの合成亢進が行われ、血中への放出が進んだもので、アイソザイム検査で小腸由来のALPが上昇すると考えられる。

魚に含まれる水銀などの有害物質が腸内に長年に亘って蓄積されていると、一度、悪玉菌優勢に傾いた腸内環境は、善玉菌を増やすサプリメントを使っても、改善には時間がかかるという。よく強調されるのは、食物をよく噛まないと、消化が悪くなり「リーキィ・ガット症候群」になりやすい。これは食物アレルギーの原因になるとも言われているので、よく咀嚼をすることが大切であると言われている。最近、アレルギー、慢性蕁麻疹や湿疹の患者が増えているので、まずよく噛むことである。「噛む噛むevery body!」である。

腸管免疫

腸内細菌の環境が良いと、腸管内の免疫がスムーズに行なわれる。腸管内免疫は体の粘膜免疫の一部を形成している。

回腸内腔の絨毛の間に点在するパイエル板はリンパ組織で、断面図がM字に似ているので、M細胞と言われる。異物、病原菌やウィルスなどがM細胞に取り込まれると、マクロファージがその免疫学的情報をリンパ球に伝える。さらに、この情報が全身を廻って他のリンパ球に伝えられる。初めのリンパ球は小腸に帰って来るが、これをホーミング(homing)といい、ビタミンAが関与しているという。さらにこのリンパ球は、形質細胞に変わり、IgA抗体を産生し、これが杯細胞から管腔内に排出され病原菌に立ち向かう。3~4歳以後の幼少時から、あまり清潔でない環境に置かれると、パイエル板から多くの色々の外敵や異物が入り、リンパ球は訓練され、大量のIgA抗体を作りだしているため、アレルギーなどが少ない。子供が只今流行の抗菌グッズに囲まれた清潔な環境下に慣らされると、リンパ球が訓練されていなく、IgA抗体が余り産生されないために、軽い異常事態でも中々対処出来ない場合があるという。

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